空色のパノラマ

空色のパノラマ

なにげない毎日の中にひっそり佇む、ささやかで見落とされがちな奇跡をX100Fとクラシッククロームで綴る日記。

昔には昔の、今には今の。そのときどきの事情でそうせざるを得なかったことが結果自分のスタイルになっていく。

※撮影:2022年12月+α。自宅、鳥居造り、近所。カメラ:X100F/クラシッククローム。

毎回そんなことを書いておりますが。

家族写真はやっぱりちゃんとプリントしてアルバムに残そう、ってことを数年前に
思いまして。
子供が産まれてからずーっと撮り続けた写真データ。
デジタルならではの膨大な、山ほどある枚数から選んで選んで選び抜いて、
プリントをしております。
ようやく写真選びが2018年までたどりつきまして(まだ令和になってない)
そして写真を選んでいたら・・・え?え?!これめっちゃいいじゃん!!
(っていうのが最後の写真)

前にこんなブログを書きました。

sorairopanorama.hatenablog.com
家族の写真を、心から満足できるものが撮れた!!と喜んでいたんですが、
何気に、2018年写真は全然これより(今の自分の好みでは)いい子供の写真が
撮れていました。
はい、客観的に見て、いわゆる普通の基準で見たら欠点だらけの写真です。
多分この間の写真の方がいい。
でも、自分が撮りたいもの・・・そのときの情感、様子、家族の暮らし、光・・・
そういったものが、自分が撮りたいものが余すところなく撮れている、そういう意味で
自分にとってはとてもいい写真だな、と。

この頃使っていたのはX20という、今使っているX100Fよりも全然性能の低いカメラ
だったんですが、性能なんて関係なく、あるいはそれゆえに、自分にとってすごく
いい写真だな、と感じています。
先日の、よい道具を手に入れたことによる良し悪し、という話しと通じるんですが、
撮れるものが(X20だと)限られていて、それ故に撮りたいものに一直線というか、
余計な色気を出さず、あれもこれもと欲張らず(そんな余裕もなく)、ほんとに
撮りたいものにまっすぐだったなぁ。

sorairopanorama.hatenablog.com
X20を使ってた頃は、このカメラを使ったらどうやったらよい写真が撮れるか。
自分の手足の如く使いまくって、EVFがイマイチだったんで光学ファインダーで、
そして写った写真のプレビューも表示しない。
そんなふうに撮るのが、ある意味フィルムカメラ的な撮り方がとても楽しくて、
そうやって撮り続けた方がごくごくたまにすごくいい写真が撮れる。
要するに運任せで、運任せであればたくさん撮った方が当たりも出る、という
博打的な、とても勢いのある撮り方をしました。
だから、ほとんどの写真がダメダメだったんですが、ごくたまに、すごく突き抜けた
いい写真が撮れていたっていう。実に若さと勢いのたまものだなぁ、と。
(その頃すでに40代ですが(笑))

・・・進歩はしていると思うんですよね、自分の写真。自分でもそう感じます。
ただ、本当にその時々で最高傑作!!っていう自分にとっての上限値は結局変わらない
と感じていますし、当時の勢いで撮る、撮りたい!!だけが写っている写真も、
こうして見返すととてもいいな、と思います。

ただ、自分の写真の撮り方って、その当時の撮り方も、こういうことを考えて選んで
いたわけではなく、そのときの事情があってその中でそうせざるを得ないからそうして
いただけ、っていう。
カメラの性能や機能がそうだったから。そして、当時の仕事は仕事中でも写真を撮って
いいというか、建築の広報をやっていたこともあって、むしろ仕事中に写真を撮ること
が推奨されていたので、もうほんとに朝から晩までずーっと写真を撮り続けていた。
そういう中から生まれたスタイルだと思います。

今の暮らしからは、もっとさりげない美しさを残したいという思いが強くて。
EVFで明るさや構図の隅々まで確認しながら、黒い部分のディティールも拾いながら。
ゆっくりと被写体に向き合いながら。
そうやって、一点だけでない、そのときのさりげない美しさを拾うような撮り方だな、
って思います。
歳をとったせいかもしれないし、暮らしが変わったせいかもしれないし、仕事が
変わったせいかもしれないし、カメラが変わったせいかもしれないし。
いずれにしても、今の自分からは今の撮り方のスタイルが生まれていて、
今の自分の写真には派手さや勢いはないですが、でも、今の自分は今の自分の写真が
好きだなぁと思っています。