空色のパノラマ

空色のパノラマ

なにげない毎日の中にひっそり佇むささやかで見落とされがちな奇跡を、手紙のように綴った写真の記録。

詩羽に出会って僕も変えられました。

f:id:Aozora100:20211028210144j:plain

f:id:Aozora100:20211102190125j:plain

f:id:Aozora100:20211102190243j:plain

f:id:Aozora100:20211102190254j:plain

f:id:Aozora100:20211102190356j:plainf:id:Aozora100:20211102190339j:plain

f:id:Aozora100:20211102190426j:plain

f:id:Aozora100:20211102190446j:plain

※撮影:2021年8月。通勤帰宅途中。

 

山本弘の「アイの物語」という本を図書館で借りて読みました。
遠い未来、人類はほぼ滅亡してAIが支配する世界。生き残りの主人公がアンドロイドと
出会い、アンドロイドからフィクションの物語を聞かされるうちに、なぜ人類が滅び、
AIが支配しているのか、の真実を知る物語です。

当初主人公が考えていたAIにより人類が滅ぼされた、ということとは異なる真実、
理解できないものは排除せず許容すればいい、今の世界や現実は全て人の夢や
フィクションから生み出されたもので、人類自体ははかなく月や近隣惑星に届くのが
限界かもしれないけれど生み出した物語は遠く宇宙の先まで届く、というような
メッセージが込められた、穏やかで、優しくて、そしてとても力強い物語でした。

ジーンと心が温かくなった僕は、同じ作者の本を読みたいなと思い、いつか目にした
書評で評判のよかった、「詩羽の住む街」という本を読もうと思い、図書館で探したら
・・・
ない。
なんだよー、六市町村もあるのにどこにもないのかよー(うちの地域は近隣の図書館で
本を融通しあう仕組みがありますが)、とがっかりし、ええい、もういきおいで買って
しまえ!!とこの本を買いました。

www.amazon.co.jp



僕は本をたくさん読むんですが、本を買うということはほとんどせず、図書館を大いに
利用しています。CDはすぐ買うくせに、本を買うということは一大決心みたいな、
そんな感じなんですが、きっとこの作者の本なら面白いはず!!と勢いで買って
読んでみると・・・

とある街に住む漫画家志望の、しかし道に行き詰っている青年がある日、同じ街に
住む詩羽という女性と出会い、いきなり、私と一日デートしない?と誘われます。
なぜ?と聞くと、善人は幸せにならなければいけない、あなたは今幸せじゃない、
私と知りあったら幸せになれるよ、とのこと。
訳の分からないまま、彼女の勢いと、自分の行き詰まりから詩羽とデートを始める
青年。そこには、街の人と人をつなげ、ある人が持っているけど価値に気付いてない
ものを、別の、それを欲しているけどそれに気付いていない人につなげ、また何かを
したいけど無理と決めつけている人の背中を押して実現させる、そうやってつながった
人たちからのお礼で、家もお金も持たず暮らす詩羽の姿がありました。

・・・・多分この紹介だと、あーはいはい、そういういい話し系ね、お金より人に
親切にすることが大事ってことでしょ、とひねくれものの方は思われることだと
思います。というか、僕が読み始めてしばらくはそう思ったわけですが(笑)
これはやっちまったか?(買ったの失敗したか?)と思って読んでいくと、
そういう、善意の押し売りや、いいことをして悦に入っているのとは全然違う、
もっと冷静で、クレバーで、論理で行動している詩羽に気付きます。

人は幸福になるのは目的なのに、そして他はすべてそのための手段なのに、いつの
間にか手段が目的になってしまって、目的のために手段を変える=今やっていることを
修正するってことができない人がいる。
競争は大事だけど、協力すればもっとみんなが豊かになれるっていう場面で、それに
気付かず独り占めに明け暮れる人もいる。
私は触媒で、私と知り合った人は必ず変化する。でもそれは本人が自分を変えただけ
なの。

こう書くと絵空事のようでもありますが、でもその具体例が本の中で生き生きと
描かれていて、青年と同じように、詩羽のやってきたこと、これからやることに
ワクワクしている自分。

人に親切にして生きているんだけど、それは決して愛だの善意だのではなく
(というと語弊がありますが、ボランティア的な話ではなく)、そうすることが
一番論理的に幸せになる近道だから、何より自分が得をするから、というロジカルな
思考と、
そして、
善人は皆幸せになるべき、私と知り合った人は誰一人不幸にしない、
何年かかっても世の中を変えることをあきらめないという揺るがない信念に
触れて、
いつの間にか詩羽に惹かれてる自分。

読み終わって大満足。これはいい本を読んだな、と思い、さてどうしようと。
僕がCDを買うのは、データになじめないってのもあるんですが、いい音楽をありがとう
というお礼を、対価を作者に払いたいという思いからなんですが、今回この本は珍しく
買っているし、どうしよう、じゃあこの本のきっかけになったアイの物語を買おうか、
それで対価を支払えるな・・・・でもなぁ。
なにか物足りないというか、しっくりこなかったんです。
そのときにひらめきました。

そうだ、詩羽のいる街を地元の図書館に寄贈しよう!!
そもそも図書館で借りれなくて不満だったわけで、他にもそんな人いるだろうし、
もしくは図書館にないことで出会えないわけで、もしこれが図書館にあれば
借りる人も出てくるだろうし、偶然出会う人もいるかもしれないし、それって
すごくワクワクする!
作者の懐には対価がいかないけど・・・それはそれでまた何か考えるとして、
きっと物語はたくさんの人に読まれた方が幸せに決まってる!!
読まなくなった本を図書館に寄贈するのはなんか不用品を引き取ってもらうみたいで
気が引けるけど、まだこれからもたくさん読みたい新しい本を寄贈するっていいじゃん!!!
読みたければ自分も借りればいいんだし、むしろ自分の家のスペースを圧迫しなくて
いいかも!!!!
あれ?これって誰も損しないいい取引じゃない!!!!!

どうやら僕も、本の中の人たちと同様、詩羽と出会っていつの間にか変えられて
しまったようです。