空色のパノラマ

空色のパノラマ

なにげない毎日の中にひっそり佇むささやかで見落とされがちな奇跡を、手紙のように綴った写真の記録。

もう無理、苦しい、でももう少し頑張る、を繰り返す・・・御柱を終えてその①。

撮影(妻):2022年5月。御柱。

先日、三日間の御柱下社里曳きが終わりました。
自分は元綱係で参加していました。
山で切り出した巨大な木に大きな綱をつけて、そこに参加した人が一人一人、小綱と
言われる小さい綱を結んでみんなで引っ張る、という単純至極な祭りで、元綱係は
その元々の綱を作ったり、根元の方で綱を引っ張ったりコントロールしたり、という
ことをしています。
(三枚目以降に写っているのが私です)

単純至極といっても、何せ巨大な木、地元の人が(今年はコロナということもあって
事前に申請した人だけが)寄ってたかってみんなで引っ張るんですが、これが重い。
途中坂道を登ったり、直角に曲がったり、街の中を苦労しながら曳いていきます。
僕も途中で両足が一気につって泣きそうになったり三日間で体のあちこちが痛み、
悲鳴を上げていました。

この柱がまず動き出すのに力がかかります。こんなもの本当に動くのか、という
気持ちを感じながら、元綱や梃子係が木をゆらして綱をゆらして抵抗を減らして
やっと動き出します。しかし動き出しても、しばらくするとすぐに勢いが弱まって、
勢いが弱まってくると、ものすごく重くなってきて、引っ張っているともう無理!!
ってなって、そうするとやっぱり柱が止まってしまいます。
だけども、弱まってきたときに、めちゃめちゃ重くてマスクもしているから呼吸も
苦しくて全身も悲鳴を上げているけど、でももう少しだけ、あと少しだけこの
全力を続ける!!って頑張ると、不思議と柱は動き続けます。

結局それって不思議でもなんでもなくて、その場で引いている人たち全員が同じように
感じているんですよね。
自分だけはもういいや、とか、あ、これもう無理だわ、って感じたときは他の人も
同じように感じていて、結果止まってしまう。
でも、きっと他の人も頑張っている、自分もあと少し頑張ろう、と考えるときは
他の人もそう考えて、結果みんなが力を振り絞るので動き続ける。

木遣りや掛け声でタイミングを合わせて、すごい一体感で動いているように見えても、
実は本質的には、一人一人が他の人の気持ちや力の出し具合は分からず、孤独に、
自分一人で頑張っているとも言えます。
でも、それでも、その場にいる他の人を信じて、ともかく全力を出し続ける。
そうすることで、自分一人ではとても無理な、この巨大な相手を動かし続けることが
できる。もう少し、あと少し。

今回参加して、御柱を曳くってそういうことなんだと深く深く理解と実感をしました。
多分いろいろ意見あると思うのですが、それでも、こうやって人力で御柱が
曳けてよかったなぁと思います。

追伸。
途中で家族が引っ張っているところに遭遇しましたが、多分こんなことすら考えず、
何の疑問もなく毎回常に全力120パーセントで引っ張っている息子の姿があり、
なんてすごい人なんだと尊敬の念を新たにしました。