空色のパノラマ

空色のパノラマ

なにげない毎日の中にひっそり佇むささやかで見落とされがちな奇跡を、X100Fとクラシッククロームで綴る日記。

おかえり、はなさん。

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※撮影:2020年3月。近所。

 

はな。

去年の12月に、過去に2度捨てられている9歳の雌犬を譲り受けて一緒の暮らしが

始まりました。名前ははな。

過去の経験からとても人見知りで警戒感が強い、とNPOの方から言われて

ましたが、うちの家族にはすぐ打ち解けてくれて順調に過ごしていました。

順調だと思っていました・・・

 

今月の7日の日曜日、夕方から熱が出てきて、普通にしているもののすぐに

ばてるようになりました。

どうしたんだろうと翌日、動物病院に連れて行くと、熱中症か、あるいは

感染症の疑いがあるが、この段階ではなんともいえない、ということで

点滴をしてもらって、家で様子を見ることになりました。

 

何日か様子を見たものの回復する気配がなく、食事もほとんど摂らないので、

12日にもう一度病院に連れて行きました。

熱中症でここまで回復してこないのはおかしい、これは感染症かもしれない、

ということで血液を採ってみると、なんらかの炎症を起こしているが、

それでも数値が異常に高いわけでもない。

薬を飲んで経過を見ましょう、ということでまた家に帰り、早く元気になると

いいね、と家族で話しながら迎えた金曜日19日。

土、日、それからずっと同じ様子で変わらなかったんですが、何か胸騒ぎがする。

誰からということもなくやっぱりもう一度診てもらおうと夜閉まるぎりぎりで

駆け込みで診てもらったら、脾臓が肥大している、緊急で手術をする、という

ことになりました。

 

その夜、11時くらいに手術が終わり、妻が代表で様子を診てきたんですが、

帰ってくると、思ったよりも癒着がひどい。体力がかなり低下していて

貧血がひどい。今夜が山だ、と。

実際に様子を診た妻は、口には出しませんでしたが、もう無理かもしれない、

と感じていることがわかりました。

 

昔飼っていたフェレットが癌にかかり、闘病生活の後、最後の日に、

もう全く動けない日が続いていたのに、僕が出勤しようとしたら玄関に出てきたので、

これは・・・と思いその日は休みをもらい、一緒に過ごし、最期を看取ったこと。

最近、ずっと一緒に暮らしていた鳥の一羽が静かに亡くなったこと。

どうしてもそんな記憶が蘇ってきます。

今から考えれば、はなさんはいろんなサインを伝えていました。

なんでもっと早く気づかなかったんだろう。

手遅れなのか。

何をやっていたのか。

それなのに、それなのに、それなのに・・・・

 

結局その夜は一睡もできず、病院から電話がかかってこないことだけを頼りに、

(夜はスタッフの方も眠るのでもしものことがあっても連絡はこないのに)

過呼吸のようになりながら、黙っていたら気がおかしくなりそうなので無理に

明るい会話を子供達としながら病院が開くのを待ち連絡すると、衰弱していますが

乗り切りました、とのこと。

様子を診に行くと、ぐったりとしていましたが、こちらの様子を確認し、反応が

あります。

まだ全然安心できないけど、でも生きてる。死なないでくれていた。

ああ、どうか元気に回復させてください。

 

そんな祈るような気持ちで後ろ髪を引かれる思いで病院を後にしました。

そして。

 

今日、妻が病院にお見舞いに行くと、お医者さんの予想をはるかに超える

回復力で元気になってきている、とのこと。

とても帰りたがっているし、予定より二日早いですが退院してもいいですよ、と。

そして急遽退院することになりました。

 

妻と子供達でお迎えに行くことにして、僕は洗い物などいつもの家事をして

待っていました。が、全然家事が手につかない。

ちょっとやってはすぐ窓の外を見に行ってそわそわそわ。

嬉しい気持ち。楽しみな気持ち。でもやっぱり不安な気持ち。

早く会いたい会いたい会いたい。

そんな様子で待つこと一時間。

 

はなさんは、僕が病院で見たときからは想像できないくらい軽やかな

足取りでうれしそうに帰ってきました。

お腹はびっくりするくらいやせていて、苦しかったんだね、ごめんねごめんね。

よく生きてくれた。ありがとう。ありがとう。ありがとう。

 

今、ようやく肩の力が抜けました。

今月のずっとこわばっていたのがほどけました。

明日からはもっと様子に気をつけて、でも今まで通り、また楽しく一緒に

くらしていきます。

おかえり、はなさん。